火と金属と鍛冶、光と水晶 [イニシエーション]

<火>

あるイヌイットの女性は、火の玉のような流れ星に打たれ、炎が体の中に入るヴィジョンを得て、シャーマンとしての力を得ました。
このように、シャーマンは「内的な火」を持っているとされます。
おそらく、トランス状態に入ることは、「内的な火」のコントロールと関係していると考えられているのでしょう。

「火」は霊的エネルギー、力そのものです。
また、「火」によって燃やされないことが物質的存在ではなく魂的存在であることの証明であると考えられています。
ですから、「火」は浄化をもたらす存在でもあるのです。


<鍛冶と金属>

そのような理由から、火をコントロールする「鍛冶」はシャーマンの兄弟的存在と考えられることが多いのです。
「太陽」、「鉄」、「火」といった「鍛冶」に象徴的に関連づけられている要素が、シャーマンにも関係づけられています。

ですから、太陽の使いであってシャーマンの守護霊である「鷲」が、「鉄」の羽根を持っていたりします。

また、シャーマンにイニシエーション時の精霊が、鍛冶の性質を持っていて、鉄製の機具でシャーマンを解体することもあります。
あるいは、八つ裂きにさした体を、煮立った大釜鍋の中に入れて、それを溶かして金属し、それを鍛冶屋のようにして金属のシャーマンの体を組み立てることもあります。

また、シャーマンの力は金属で象徴されるため、シャーマンは金属の飾りをたくさん身につけています。

このように司祭としてのシャーマンが鍛冶的性質を持つことは、秘儀宗教にまで受け継がれています。
また、錬金術とも関係しているでしょう。


<光>

「火」とともに、「光」もシャーマンにとって重要な要素です。

「光」は暗闇と地下世界での視力、つまりシャーマンのトランス状態での「霊視」能力を支える力の象徴です。
多くのシャーマンは完全なシャーマンとなる途中で、強烈な「光」の体験を経験して「霊視」能力を得ます。

トランス状態のシャーマンは頭から光(オーラ)を放っていて、同じトランス状態のシャーマンはこれを見ることができると言います。
岩壁や洞窟の絵画でも、シャーマンの頭からは光を発している姿で描かれます。


<水晶>

その「光」を貯めた「パワー・オブジェクト」が「水晶」とされます。
「水晶」は、「光を凝縮した物」、「精液の結晶」、「天の霊の涙」などであると考えられていて、太陽や天上界とも関係づけられています。

そのため、イニシエーションの時に、シャーマンの体に埋め込まれることもあります。
また、シャーマンになる者は、必ず、自分の特別な「水晶」を所有しています。

「パワー・オブジェクト」は、何からの力をもった呪物で、一般に、シャーマンが霊視する魂の世界では、「援助霊(スピリット・ヘルパー)」として、物質の世界とは別の姿をしています。
ですが、「水晶」だけは、姿が変わらないとされます。

オーストラリアのアボリジニーでは、「水晶」は至高神・最高の男性原理の象徴です。
それは、最高の女性原理である「虹(虹蛇)」を生み出します。


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