シャーマンのトランス [シャーマニズムの概要]

シャーマンは、神霊の世界と接触するために、「トランス状態(変性意識状態、シャーマン的意識状態)」に入ります。

シャーマンは、「トランス」状態で体験する「非日常的世界」と、日常的意識状態で体験する「日常的世界」を行き来する存在です。

「トランス」には、3種類の方法があります。

・肉体を抜け出て魂や霊の世界に飛翔する「脱魂(エクスター)」
・霊的存在の「憑依(ポゼッション)」
・現実世界にいながらその背後にある魂の世界を視る「霊視(スピリット・ヴィジョン、シャーマン的エンライトメント)」

です。
「夢見」も一種の「脱魂」的トランスです。

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*トランス状態で見るシャーマン同士の霊的攻防(シャーマンの世界)

「トランス」に入る方法は、通常、ドラム、もしくはガラガラを連打し、特別な歌(パワー・ソング)を歌って、ダンスを行うことです。
地域によっては、ドラムの代わりに弓を使ったり、幻覚性植物を摂取することがあります。

「パワー・ソング」は、部族に伝わったものか、シャーマン個人が精霊から教えてもらいます。
その歌詞は、「守護霊」などを呼び出したり、シャーマンとしての自分を激励したりする内容が多いようです。

ダンスも「守護霊」を呼び出す手段であって、同時にその力を体現する方法であり、体現していることの表現でもあります。


飛翔は通常、飛行能力のある「守護霊」や「パワー・アニマル」、「補助霊(鳥や馬など)」を呼び出して行います。
シャーマンがこれらの霊的存在と一体化(変身)して飛翔することもよくあります。
これは一種の「憑霊」でもあります。

これらの霊的存在は、異界への道を開いてくれたり、道の途中で敵に出会った時の撃退したくれたりもします。

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*エスキモーのシャーマンが守護霊達と共に飛翔する絵(シャーマン)

ドラムの音は、飛翔中の推進力としても働きます。
一般に、シャーマンが「脱魂」の状態に入ると、動けなくなって寝転びますが、自分が寝転んでいることや、周りの状態を音などによって知覚していることが多いようです。

場合によっては、横たわらずに、魂の世界で行っている行為をそのまま地上で行って、回りの者に見せることもあります。


「透視」は通常、夜などに暗闇で行われます。
この時、シャーマンは、物質世界と魂の世界を2重で見ることになるのですが、この2つの世界を混同することはありません。

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