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パワー・アニマルを連れ戻す [治療と霊的存在]

人が「パワー・アニマル」を失うと、元気を失い、重病になったり、体調が悪くなったり、病気にかかりやすくなります。
シャーマンは、そのような患者の治療のために、他界にトリップして「パワー・アニマル」を探し、連れ帰ります。

ネオ・シャーマニズムの旗手のマイケル・ハーナーが、地下世界から「パワー・アニマル」を連れ帰る方法を書いていますので、それを紹介しましょう。
ちなみに、彼は南北アメリカのシャーマニズムの技術を学んだ人物です。


まず、シャーマンは、その動物の踊りを踊り、どこにいるかわからない霊の注意を引くために四方と上下に向けてガラガラを振ります。
次に、自分の「パワー・ソング」で「スピリット・ヘルパー」達を呼び起こして、トランス状態に入ります。
そして、床に寝ころがっている患者の体に重なるように、自分の体を押しつけます。

その後、「地下世界」に降りて行くのです。 「パワー・アニマル」が本来いる場所は、地域、部族によって異なりますが、多くは「地下世界」であると考えます。

「パワー・アニマル」は、地下世界へ至るトンネルの中か、トンネルを抜けてすぐのところにいることが多いのです。
ただ、その途中で、クモ、昆虫、歯をむき出しにした爬虫類や魚に出会えば、避けて通らなければなりません。

「パワー・アニマル」は4回、違った向きで現れます。
この法則に従って、出合った存在が「パワー・アニマル」であるかどうかを識別します。
この法則も部族によって異なるでしょうが、何からの法則をもって、確認します。

また、「パワー・アニマル」は、哺乳類か鳥類、爬虫類かのいずれかであって、昆虫ではありません。
そして、敵意をむき出しにしていることはなく、捕まえようとすると喜んでついてきます。

「パワー・アニマル」は、手で抱き抱えて連れて帰ります。
そして、患者の胸と後頭部に押し当てて、息を吹き入れながら体の中に押し入れます。
多くの場合、「パワー・アニマル」は人間の胸に収まっていて、後頭部は重要な力の出入口とされるのです。

その後、患者は、その動物のダンスを踊って、その力を感じ、体の中に収める必要があります。

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侵入した邪霊を吸い出す [治療と霊的存在]


有害な力である「邪霊」の侵入によって患者が病気になった場合の、シャーマンの治療のプロセスを、マイケル・ハーナーの解説を元に紹介します。 彼は、ネオ・シャーマニズムの旗手で、南北アメリカのシャーマンに学んだ人物です。


まず、シャーマンは「パワー・アニマル」を取り戻す時と同じように、「地下世界」にトリップします。
そして、そこでどんな姿の「邪霊」に出会うかによって、侵入した「邪霊」を特定します。

その有害な「邪霊」は、「地下世界」へ向かうトンネルの中か、トンネルを抜けたすぐのところにいます。
そして、虫や歯をむき出した魚などの形で現れることが多いのです。

次に、シャーマンは地上世界に戻って、霊視と気の波動を感じることによって、侵入者のいる体内の「部位」を特定します。

次に、侵入者と同タイプの「スピリット・ヘルパー」(例えばクモ)を持つ「パワー・オブジェクト」(例えば何らかの植物)を、2つ口の中に含みます。
そして、「スピリット・ヘルパー」の霊をここに呼び入れます。

そして、疾患の場所から霊的な次元の侵入者を吸い出します。
侵入者は1つ目の「パワー・オブジェクト」にいる「スピリット・ヘルパー」が吸着します。

ですが、万一これをすり抜けた時のために、もう1つ「パワー・オブジェクト」を口に入れて2重に守っているのです。
そうしなければ、侵入者がシャーマンの喉を通って体の中に入ってしまう危険があります。

「邪霊」を吸い出すと、それを、水を入れた容器などに吐き出します。
シャーマンはここに「邪霊」を吸い取ったとして、口から「パワー・オブジェクト」を取り出して、患者に示すことがあります。

患者には「邪霊」は見えず、「パワー・オブジェクト」しか見えません。
ですが、シャーマンの演出の意味を理解していますので、「パワー・オブジェクト」が体内から取り出された「邪霊」であるとは思いません。
現代人はこれを理解できずに、トリックだと勘違いします。

最後にシャーマンは吸い出した力を安全な所に捨てに行きます。

また、タバコの葉は邪霊を吸着する性質があるので、患者の周りに干したタバコの葉を入れた袋を吊して輪を作り、結界を張ることもあります。


ちなみに、カラハリ砂漠のサン族は、中央に火を炊いて、その回りに女性が輪になって座り、その外側を男性がダンスする形の治療の儀指を行います。
そして、シャーマンは、手から患者の邪霊を吸い取り、体の中を通して首の後の穴から捨てます。

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チャントと砂絵の儀式 [治療と霊的存在]

ナヴァホ族の儀式は、「詠唱の道」と呼ばれていて、「歌い手(チャンター)」を中心に、数日間に渡って行われます。
「歌い手」は、「メディスンマン」や「シャーマン」に類した存在のようです。

この儀式は、病気を治療するために行われ、「歌(チャント)」と「砂絵(サンド・ペインティング)」と祈りと薬草と供物で構成されています。
ですが、儀式は、必ずしも治療だけが目的というわけではありません。

ナヴァホでは、病気の種類に合わせて、「歌」や「砂絵」が選ばれます。
特定の「歌」、「砂絵」は、特定の神話と関係があります。
「歌」や「砂絵」の種類は、数百以上あります。
そして、病気の症状に関わりのある精霊が強調されます。

「砂絵」は、基本的には、ナヴァホ族の聖なる神霊であるイェイ達を描いたもので、それらは宇宙の諸力を表現し、四方を持っています。

つまり、「砂絵」はインディアンの曼荼羅です。
仏教のマンダラやヒンドゥー教のヤントラはよく知られていますが、インディアンの「砂絵」があまり知られていないのは不思議です。
ちなみに、チベットでも、儀式ごとにマンダラを砂絵で作ります。

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「砂絵」は床に色付きの砂で描かれます。
そして、トウモロコシを振りかけて、精霊達が「砂絵」のある場に招かれます。
また、杖、首飾り、うなり板などの祭具が、「砂絵」の周りの所定の一に置かれます。

病人の体にも、神聖な象徴が描かれます。
そして、病人は、「砂絵」の中に入り、東に向いて座ります。

「歌い手」は、「砂絵」と病人に触れて、一つに結び合わせます。

儀式によって、病気の原因となった悪い力、邪霊は砂に吸い取られ、儀式が終わると「砂絵」は破壊されます。

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「砂絵」に描かれる、力を持つ精霊、英雄は、「聖なる双子」、「異国の神々を殺す者」、「水の子」、「聖なる男」、「聖なる女」、「聖なる少年」、「聖なる少女」などです。

「砂絵」のもとになる神話は、これら「聖なる人物」達が登場する非常に長いものです。

その他に「砂絵」に描かれるのは、ヘビ、バッファローなどの動物、トウモロコシ、タバコなどの植物、太陽、稲妻などの自然現象、弓、矢などの道具です。
これらのものは、そのものの姿と、人格化された姿の2つの相を持っています。


「砂絵」は調和を表現していて、健康とは調和のある状態です。
ですから、治療は、患者に足りない力を招くものです。

この「歌」と「砂絵」の儀式、つまり、ナヴァホ族「詠唱の道」は、シャーマニズムの幾分か体系化された治療法でしょう。
魔術も密教も、基本原理は同じです。

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遊離した魂を連れ戻す [治療と霊的存在]


魂が遊離して重病になった人がいると、シャーマンはその治療のために、トランス状態で魂を取り戻す旅に出ます。

このページでは、「死者の国」に魂を捕らえられた人の魂を連れ戻す、アルタイ・シャーマンの旅を紹介します。

これは、南北アメリカのシャーマが、「パワー・アニマル」を連れ戻す治療の旅と似ています。
つまり、シャーマンは、トランス状態になって「補助霊」達とともに「地下世界」に飛翔し、魂を見つけて持ち帰り、患者の体に入れるのです。

もちろん、地域の違いで、「地下世界」への行き方や、その様子には違いがあります。


まず、シャーマンは、馬の霊に乗って、南に向かって旅立ち、山の中に行きます。
途中には、そこで力尽きたシャーマンや馬の骨が散らばっています。
山の中で、「地下世界」へ降りる穴(洞窟)を見つけて、そこから降りていきます。

すると、平野に出ますが、そこを進んで行くと、細い橋がかかっている川、あるいは、海に出ます。
シャーマンはこの橋を進みますが、落ちて死んだシャーマンの骨や、死後にこの橋を渡れなかった罪人が苦しんでいるのが見えます。

橋を渡った後、邪魔をする番犬をはねのけ、門番の召使いに贈り物をしたりして「死者の国」の王(エルリク・カーン)の天幕(宮殿)に入ります。

王と対面すると、自分と先祖シャーマンの名を名乗り、供物を捧げ、王に酒を勧めます。
そして、目的の魂を見つけて連れ帰ります。


地域・部族によっては、帰り道は、鷲に乗って帰ることもあります。
また、魂を一旦、最高天にまで連れて行って、浄化してから帰ることもあります。

また、「地下世界」が7層(7つの障碍と呼ばれます)になっていて、それぞれの層でそこの神霊と出会いながら降りていくこともあります。

「死者の国」では、シャーマンは、仮面をつけるなどし「死者の国」の霊達から見られないようにすることもあります。


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スピリット・ヘルパーとパワー・オブジェクト [治療と霊的存在]

「スピリット・ヘルパー(補助霊、援助霊)」は病気にしたり、直したりする力を持った精霊的存在で、呪術的攻防でも使われます。
「スピリット・ヘルパー」には多くの種類があって、「守護霊」とは違ってシャーマンだけが持つことができます。

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*ペルーのシャーマンが見た草木の霊(シャーマンの世界)


<スピリット・ヘルパーとパワー・オブジェクト>

「スピリット・ヘルパー」の物質世界での姿は「パワー・オブジェクト(呪物)」と呼ばれ、多くは植物です。
ですが、シャーマンがトランス状態で見る本質、つまり魂の世界では、動物か昆虫、魚、鳥、場合のよっては人間として姿を現します。 特に水鳥の「スピリット・ヘルパー」は、水陸空の3界で行動できるため強い力を持っています。

「スピリット・ヘルパー」は、敵の攻撃を撃退するために必要です。
しかも、敵と同じタイプの「スピリット・ヘルパー」だけがその外敵を撃退できるのです。
そのため、シャーマンは多くのタイプの「スピリット・ヘルパー」を身につけている必要があります。
特に、水鳥以外にも、クモ、ミツバチ、スズメバチ、蛇の姿をした「スピリット・ヘルパー」は、強力なので必須です。

シャーマンはいつ攻撃を受けてもいいように、常に「パワー・オブジェクト」をメディスン・バッグの中に入れて歩いています。
シャーマンによっては、常に胃の中に消化されない「パワー・オブジェクト」を入れたままにしているシャーマンもいます。

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*エヴェンキ族の鳥のスピリット・ヘルパーの木彫り(シャーマンの世界)


呪術師(黒シャーマン、妖術師)は、相手を攻撃するために「スピリット・ヘルパー」を放ち、相手の体に差し込むことがあるので、「スピリット・ヘルパー」は「魔法の矢」とも呼ばれます。

胃の上部に精霊体の「スピリット・ヘルパー」の力を蓄えていて、粘液とそれを共に吐き出して、攻撃のために口からそれを放つ呪術師もいます。 死んだ動物の骨や歯などに霊を吹き込んで送り出すこともあります。

治療を行うシャーマンは、患者から「魔法の矢」を自分の口に吸い出して、飛んで来た方向に吹き返すか、安全な場所に捨てます。

*「魔法の矢」を吸い出す方法は、別ページ(予定)を参照してください。


見て何か力を感じさせるもの、心魅かれるものはすべて「パワー・オブジェクト」です。
それはシャーマンが身につけるべき力を象徴していて、「スピリット・ヘルパー」を持っているのです。

「スピリット・ヘルパー」は、病気を治療してくれる存在でもあります。その植物が薬草として患者に飲食される場合もありますが、それは「スピリット・ヘルパー」のスピリット・メディスンの本質ではありません。

患者が飲食する場合もありますが、スピリットのつながりのためであって、シャーマンがタバコとして吸ってその煙を吹きかけることもあります。「スピリット・ヘルパー」に治療法を尋ねる場合もあります。

幻覚性植物は、特別な「スピリット・ヘルパー」を持っています。
その植物に特有な幻覚作用によって、魂の世界に案内してくれるからです。
それらは、様々な知識をさずけてくれる存在で、「盟友(アライ)」と呼ばれたりします。

「パワー・オブジェクト」や「スピリット・ヘルパー」には多くの種類があって、これを4方に配置したり、12の月に配置したりして、体系化がされていることもあります。
これは、後世におけるマンダラや象徴体系の原型と考えることができます。


<スピリット・ヘルパーの獲得方法>

邪霊を撃退するために必要な「スピリット・ヘルパー」の獲得法を、ヒロバ族の方法を元にマイケル・ハーナーが解説しているので、それを紹介しましょう。
まず、森などの自然の領域を歩いて、注意を引く植物を探します。
この植物が「スピリット・ヘルパー」を持つ「パワー・オブジェクト」なのです。

その植物が毒を持たないことを確認したら、植物に事情を説明してから、その植物の一部を切り取って食べます。
そして、同じくその一部をメディスン・バッグの中にも入れます。
その夜、地下世界へトリップして、その植物が2度現れるまで待ちます。
次に、それが植物以外の姿に変身するまで観察します。
そして、2本の植物(2体のスピリット・ヘルパー)をそのまま食べます。

「スピリット・ヘルパー」は、ヴィジョンの中で、その植物についての薬草としての知識や、「スピリット・ヘルパー」としてどんな邪霊撃退に役に立つのかを教えてくれます。
このようにして「スピリット・ヘルパー」を次々と身につけていくのです。
「スピリット・ヘルパー」の数が多いほどシャーマンの治療能力は高まります。


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守護霊とパワー・アニマル [治療と霊的存在]

シャーマンは様々な霊的存在と関係を結ぶことでシャーマンとなり、その役割を果たします。
「守護霊(ガーディアン・スピリット)」、「守護動物(パワー・アニマル)」、「援助霊(補助霊、盟友、スピリット・ヘルパー)」、先祖シャーマン、祖霊、神々などです。
シャーマンのあり方は各地で違いがあるので、霊的存在の種類も様々で、これらを指す言葉にも幅があります。

シャーマニズムの社会の多くでは、シャーマンだけでなく、誰にでも「守護霊」が必要とされます。

祖先など、人間的な「守護霊」の場合、人格的な性質が強く、知識や助言、直観を与えてくれる存在です。

一方、北米インディアンでは、一般に、「守護霊」は動物の姿をしているため、「パワー・アニマル」と呼ばれます。
これは、シベリアでは「保護霊」、メキシコ、グアテマラでは「ナワール」、オーストラリアでは「アシスタント・トーテム」などと呼ばれます。

ですが、「パワー・アニマル」は人の姿をもった人格的存在として現れることもあります。

「パワー・アニマル」である「守護霊」は、何よりも生命力を与える存在です。
人は「パワー・アニマル」を持っていると心身ともに元気でいることができますが、「パワー・アニマル」を失うと元気を失い、重病になったり、体調が悪くなったり、病気にかかりやすくなるのです。

また、シャーマンにとっては、「パワー・アニマル」は、変身の能力を与えてくれる存在でもあり、また、健康などの問題に対するアドバイスをくれる存在でもあります。

「パワー・アニマル」となる動物には多くの種類があって、人によってどんな種類の「パワー・アニマル」を持っているかは様々です。
熊だったり鷲だったり、たいていは、哺乳動物か鳥類です。

「パワー・アニマル」を持ち続けるためには、定期的に呼び出して、ダンスを捧げる必要があります。
それでも、ある程度の時期が過ぎると、自然に離れていくことがあります。
この時には、違った種類の新しい「パワー・アニマル」を探す必要があります。

パワー・アニマルは通常1人に1つとされますが、部族によっては2つ以上持つことができるとすることもあります。

シャーマンは、患者や自分の「パワー・アニマル」を求めて、主に地下世界にトリップして捜して、それを持ち帰ります。

心理学的には、「パワー・アニマル」は自我がこれから統合しようとしている無意識の力の象徴のような存在でしょう。

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*アフリカのクング族のシャーマン達がパワー・アニマルのレイヨウに変身する絵?(シャーマン)


シャーマンの「守護霊」は、先祖のシャーマンの霊や、祖霊であることもありますし、精霊的な存在や「パワー・アニマル」の場合もあります。

先祖シャーマンの霊は「守護霊」ではなくて、単なる教育係の場合もあります。
「守護霊」が異性である場合、霊的配偶者となることも多いのです。

シャーマンの「守護霊」は、シャーマンとしての役割を果たすために必要なあらゆる知識と技術を教える存在です。
そして、霊界にトリップする時には、道を示したり、シャーマンに憑依して「守護霊」に変身させて飛行させたりします。

シャーマンの「守護霊」は心理学的には一種のハイヤー・セルフ、つまり深層の自己のような存在でしょう。


また、トーテミズムの社会であるオーストラリアのアボリジニーでは、人間の「守護霊」はその人の氏族の「トーテム先祖」であり、その人間の霊魂もその「トーテム先祖」の分霊です。

「トーテム」は、動物など(植物、天体、自然現象)の名前で呼ばれ、その根源である先祖は半獣半人などの姿をしています。
人間は「トーテム先祖」の性質を内面に受け継ぎ、「トーテム動物」はそれを外面で受け継いでいます

南北アメリカにもトーテミズムはありますが、ここでは、氏族の「トーテム動物」と個人の「パワー・アニマル」は別の存在です。

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