出産を助ける [様々な仕事の方法]

 
パナマのタナ・インディアンのシャーマンが行う、難産をサポートする行う方法を紹介します。


タナ・インディアンは、身体の部位、臓器にはそれに対応する精霊がいると考えます。
ちなみに、中国の道教にもこういった考え方があります。
そして、身体に問題がある時は、この精霊は悪い敵となっているとみなします。

そのため、シャーマンは、難産の時に、産婦の出産を助けるために、子宮の精霊である「ムー」と戦います。


シャーマンは、産婦が横たわる側で、「ネレガン」と呼ばれる精霊(パワー・アニマルやスピリット・ヘルパー達)を呼び出します。
その中には、穴を掘るのが得意なアルマジロの姿の精霊もいます。

そして、彼らに、黒い玉、赤橙色の玉、虎の骨、アルマジロの骨、銀のネックレス、先の尖った円錐形の帽子などの武器を与えます。

準備が整うと、ネレガン達が産道の中に入っていきます。
まず、帽子で産道を広げていきます。
すると、産婦の心も明るくなります。

シャーマンは、産婦や同席している人達に、言葉でネレガン達の行動を語ります。
それは、ネレガン達が自然の道を進んでいくように語られます。
多分、実際に、シャーマンがトランス状態で見ている風景でしょう。

ネレガン達が一列になって進んでいく…
曲がりくねった道を進んでいく…
低い山にたどり着いた…
峰を越えていく…

といった具合です。

婦の痛みはワニやタコの姿で現れます。
そして、ムーは、黒い虎や赤い動物などの姿で現れ、敵意を示します。

ネレガン達は、敵を鉄の鎖で縛り上げていきます。
そして、子宮に到達します。

すると次に、ネレガン達は、胎児を連れて、4人で横に列をなして、子宮や産道を広げながら戻ってきます。


以上ですが、現代人からすれば、これはシャーマンが行う儀礼や治療の中でも、とりわけ奇妙に思えるものでしょう。

難産の理由やその痛みが悪い精霊として人格化され、それを排除する物語がイメージ豊かに展開されています。
それが、心理的、呪術的な効果を生み出します。

シャーマニズムの本質を考える上で、とても興味深いものではないでしょうか。

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