ゲルマン/北欧のシャーマン的神話とコスモロジー [シャーマニズム的な神話とコスモロジー]

インド・ヨーロッパ語に属する北欧/ゲルマン神話のコスモロジーは、アルタイ、シベリアのシャーマニズムのそれと似ていて、影響関係があったと推測できます。

北欧神話では世界は3つの層、つまり、神々と英雄の戦死者が住む天の世界「アースガルド」、人間と巨人、小人が住む地上世界の「ミッドガルド」、死者が住む地下世界「ニヴルヘイム」からなります。

世界の中心には巨大な世界樹「ユグドラシル」が生えていて、3つの根が3つの世界に伸びています。
ユグドラシルは甘露をしたたらせ、実をつけています。

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*3界を貫くユグドラシル(「スノッリのエッダ」の英語訳本の挿絵)

そのてっぺんには主神「オーディン(ゲルマン神話では「ヴォータン」)」の玉座があり、「鷲」がとまっています。
下方では鹿が新芽を食べて、一番下の根は悪龍「ニドヘグ」がかじっています。

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*多くの動物を住まわせるユグドラシル(アイスランドの写本「AM 738 4to」より)

3つの根元には泉があって、アースガルドの泉は3人の運命の女神が守り、ミッドガルドの泉は巨人「ミーミル」が守る智恵の泉で、ニヴルヘイムの泉の近くには悪龍「ニドヘグ」がいます。

以上の、3世界構造や世界樹、泉、そこにいる動物達は、典型的なシャーマニズムの宇宙像です。


主神の「オーディン」は、様々な側面を持っていますが、シャーマン的な特徴も多数持っています。

オーディンは、ユグドラシルに吊り下げられて脇腹を槍で貫かれ、智恵の象徴であるルーン文字を得ました。
また、巨人の血から作られた詩の霊酒を手に入れるために巨人の国に旅をしたり、霊感と知識を得るために片目と引き換えにミーミルの泉の水を飲みました。

そして、オーディンは、8本足の馬に乗って、天から地下まで行き来し、彼や彼の馬は死者を死者の国に連れて行きます。

霊界に自身を犠牲にすること、智恵を得ること、3界を飛翔、他界の旅、死者の魂を死者の国に導くのはシャーマンの特徴です。
また、片目や片足は、半分冥界にいる者、つまり、シャーマンの象徴です。

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*オーディン(18世紀のアイスランドの写本「NKS 1867 4to」より)

また、彼は魂となって体から抜け出たり、彼は鷲の姿になって飛ぶことができます。
ユグドラシルにとまる鷲は彼自身とも言われます。
そして、彼は肩の上には2羽の大カラス(ワタリガラス)を乗せ、2匹の狼を連れています。

動物に変身した脱魂、多数のパワー・アニマルやスピリット・ヘルパー的存在を持つことは、シャーマンの特徴です。

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