ギリシャのシャーマン的神話 [シャーマニズム的な神話とコスモロジー]

ギリシャ人はインド・ヨーロッパ語族に属しますが、ギリシャ神話には周辺の諸民族の影響も取り入れています。

ギリシャ神話の宇宙論には、直接的にはシャーマニズムの宇宙像を見つけることはできません。
ですが、シャーマン的な性質を持つ神や英雄はいます。


最もシャーマン的な神は「ヘルメス」です。
ヘルメスの中のシャーマン的要素は、以下のような神話に現れています。

ヘルメスは洞窟にいた女神を母に、天空神ゼウスを父にして、早朝に生まれてすぐに洞窟から出ました。
彼は夜のうちに神々の山にいるアポロンの牛を盗んで殺し、洞窟の屋敷に戻って2頭を神々に捧げました。

洞窟の女神や、動物を盗む、動物を捧げるというのはシャーマンの特徴です。

また、ヘルメスはその出口で見つけた亀から最初の竪琴を作り歌いました。
彼はアポロンの怒りを竪琴で鎮めたので、アポロンに竪琴を渡す代わりに牧人として認められました。

シャーマンの楽器としては、ドラムやガラガラが最も多いのですが、竪琴もシャーマンの楽器でしょう。
古代の日本の巫女も琴で神憑りしました。

また、ヘルメスは、パルナッソス人の3姉妹の予言、動物の支配権、冥界へ赴く使者の役、神々の使者の役を得ました。
そして、「魂の導師」と呼ばれ、黄金の杖によって人々の魂を導きます。

予言、動物の支配、冥界と神々の使者、魂の導師は、シャーマンの特徴です。

また、テッサリア地方の神話では、ヘルメスは男根の石柱で表され、大女神の息子であり恋人です。
太母(動物の女主)の恋人(男根)は、シャーマンの特徴です。


英雄神「ヘラクレス」にも、一部にシャーマンの性質があります。

彼が行った偉業の多くは、牛や鹿などの聖獣(怪獣)を奪うことや、冥界の番犬ケルベロスを退治して冥界に捉えられていたテセウスらを助け出すといったものです。

これらはシャーマンの要素と似ています。


秘儀の創始者と言われる伝説の人物「オルフェウス」にも、少しシャーマンの要素を見ることができます。

オルフェウスは、死んだ妻を助けようとして冥界に降り、竪琴で冥界の存在を魅了しました。
残念ながら、途中で後ろを振り返ったために失敗しましたが。

また、彼はディオニュソスの秘儀の女性信者達によって八つ裂きにされ、彼の首は川に流されました。
ですが、彼の首はレスボス島に流れついて、ディオニュソス神殿に埋葬されましたが、予言を下し続けました。

魂を取り戻すための冥界下り、竪琴、八つ裂き、予言にはシャーマンの要素があります。

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